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新潟家庭裁判所新発田支部 昭和32年(家ロ)4号 審判

杉山久作(仮名)

主文

右の者を過料金八百円に処する。

理由

申立人松井ヨシと相手方杉山久作との間の昭和三一年(家イ)第四七号内縁解消による慰藉料請求事件につき昭和三二年四月四日成立した調停により右久作が申立人に対し負債した義務昭和三二年五月末日までに金一万円同年一一月末日までに金一万円合計金二万円の履行を怠つたため昭和三二年(家ロ)第四号履行命令事件において当裁判所は昭和三三年一月七日同人に対し昭和三三年一月末日までに支払うことの履行命令を発したに拘らず同人は右履行期を経過するもその支払をしなかつたものであるが前記昭和三一年(家イ)第四七号事件における家庭裁判所調査官の調査結果及び本件履行命令発布後の右久作の陳述書(二通)を綜合すれば同人は昭和二一年肩書地に入植し兄杉山繁二を中心として家族と共に開墾及び農業に従い開墾地畑一町七反八畝一一歩を所有するに至り傍ら養鶏を営み相当の成果を挙げて来たが昭和二七、八年以降農産物の価額の下落、畑地の不作等で営農状態は不振となり政府融資金の外多額の債務を負担しその返済整理に追われ生活に余裕がなかつたことが窺われるが同人は現在養鶏その他による収益が月七、八万円程度あり履行勧告後及び本件履行命令が発せられた後の経過において本件債務額が比較的僅少であるに拘らず右豊作は申立人に対し全くその履行を為さざるばかりかその可能な限度において履行の提供を為しその了承を得る等の努力を尽さずその他特段の誠意を示さないまま今日に至つたことが明かなので同人が「正当の理由なく」前記履行命令に従わなかつたと認めることを相当とする。

よつて家事審判法第二八条に従い主文の通り審判する。

(家事審判官 山内麹四郎)

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